仕事から帰ると玄関先が騒がしくなる。
「パパお帰り!」

いつも子供たちがお出迎えしてくれる。

その笑顔を見ると仕事の疲れも嫌なことも吹っ飛ぶ。


パパだっこ!とおねだりされるが、妻に「パパ疲れてるんだからワガママ言わないの」と窘められる。
「ただいま・・」と言って優しく頭をなででやる。

本当は2人まとめて抱っこしてやりたい・・・けど・・・

もう、これしかできないんだ・・

子供たちはパパが筋ジスということをまだ知らない。
今は言わなくても、いつか必ず知る時が来るし、言わなければならない。

幼いころの記憶、私は父の帰りが楽しみだった。

ただいま!の一声と共に玄関に向かって走り、父に飛び込む。
しっかりと受け止められ、抱っこされ、大きな手で頭を撫でられ、肩車や高い高いをやってくれる。
おねだりしなくても、よくお馬さんごっこや飛行機ごっこなどもやってくれた。

子供心にはとても楽しく、そんな父が大好きだった。

可愛い大切な我が子たち。
この子たちは私が幼いころ経験した楽しいそれを知らない。

本当は心の底からやってやりたい。

でもできないんだ

私の子供たちは普通のパパができる、誰もが普通に経験する楽しいことを、思い出として残してやることができずに成長していく。

残念でならない。
悔しくて堪らない。

筋ジスがとても憎い。

成長していく我が子たちよ。
パパが普通とは違う、身体が不自由なパパだと知ったら・・・・
運動会に一緒に参加できないパパだと知ったら・・・・
身体が動かなくなって一緒に遊べなくなったら・・・・
働けなくなりいつも家にいるパパになったら・・・・

きっとこんなパパでも「大好き」って言ってくれるんだろうな。

あの子たちは優しいから。

こんな身体のパパでごめんね。