日々続く全身の倦怠感、細くなってきた左腕に力が入らない違和感。
自分に起きていることが何なのか認識できず、漠然とした不安を感じていた。
今まで病院に行くことが少ない所為もあり、どのように自分の症状を説明すべきか、くよくよ考えていたが、左腕に力が入らないことを受付に伝えると、問診表の記載や体温・血圧の測定後、待たされることなく診察室に通された。

当時、家族にも言ってなかったこともあり、医師には症状の説明だけでなく、不安、絶望など先生が困った表情をするくらい勢いに任せて必死に伝えたことを思い出す。

いずれにしても後日、精密検査を受けることになった。

病状が改善するわけでもないが、誰かに胸の内を話すだけで、すごく救われた感じがした。

精密検査は別の病院(総合病院)で受けた。
血液検査やMRIなど、なぜか心電図も。言われるがまま検査を受けた。

1週間ほどの後、検査結果は出たが、脳系統には異常がなかった。
ただ、医師からは血液検査の時に測定したCK値が高めなこと、MRIで筋肉量が一般男性より少ないことがわかったこと、心電図の右脚に少し異常があることを説明され、後日、別の病院の神経内科で更に検査を受けるように言われた。

脳に異常がないことに内心ホッとしたが、はっきりとしたことわからないまま状況は変わらない。

この日は平日の午前。
これから会社に向かう途中、妻から電話があった。
「パパって言えたよ!」
ハイハイしたての愛娘がはっきりと「パパ」と言えたことに喜んだ妻からの連絡だった。

うれしかった。

とてもうれしかったが、自分に起こっている異変への不安と相まって、複雑な感情を抱いたことを
はっきりと覚えている。