前回の続き

買って2年も経っていない何千万円もする設備に新型機が発売された。
性能が大幅にアップしているため、営業や製造側は買い替えたい。
しかし、管理部門、とりわけ会社の財政部門は大反対。

私はその部門の管理者であるため、本来であれば反対する側の人間だ。

しかし、会社を取り巻く市況、外部環境を考えると、余力があるうちに未来へつながる投資は積極的にするべきである、と考えている。

だが、安易に発言すれば身内から猛反発を食らい、働きづらくなる可能性がある。
また、経営陣の中には私を毛嫌いするメンツもいるため、合理性を欠いた意見を言おうものなら、
チャンスとばかりに足元をすくわれかねない。

そこで、管理会計の埋没費用と機会費用の考え方をもとに、主要幹部を招集し、今回の設備更新の妥当性を説明した。

後日・・・

設備更新賛成派
営業&製造役員「キミらは猛反発すると思っていたんだが。すんなり稟議が通ってよかったよ。」
敵対役員連中「・・・」

設備更新反対派
好意的な役員「なぜ相談もせずあんなことしたんだ?あんな風にプレゼンされたら賛同するしかないだろ!更新して損失が膨らんだらどうするんだ!」
管理部門「機会費用なんてこじ付けですよ。最初は反対してたじゃないですか!なぜ何も言わないで勝手に決めたんですか!」


社長「わたま君、この稟議書、ハンコ押してるけど大丈夫なのか?」
私「会社にとって必要と信じています。経営判断をお願いします。」
社長「いや、そういうことではなくて、君の部門は猛反対していただろ。コンセンサスは得ているのか?」
私「そ、それは・・・」

社長「・・・若いときのように正義感や合理性だけで突っ走っては疲れてしまうぞ。身体のこともあるんだから。根回しはしっかりしておきなさい。」

私「肝に銘じておきます・・・」


その後、職場には気まずい空気が流れていたのは言うまでもなく。

そんな中、業績予測及び投資計画の修正作業はとても辛かった。

好意的な上役や部下の話に耳を傾けず、「会社のために」という大義名分を振りかざして何でも勝手に
決めてしまうダメなヤツ。

そんなレッテルを貼られてしまった気がしてならない。

筋ジスという難病のハンデキャップを背負いながら、雰囲気悪い職場環境で働くのは身体に堪える・・

自分ため

会社のため

あのとき、他役員の意向や部下たちの意見に耳を傾けて、設備更新に反対する立場を取っておけばよかったのかな・・・

自分のために素直に生きていた方がどんなに楽か

そんな考えが頭をよぎる

あぁ・・・忘年会・・・行きたくない・・・


おわり