当社には障がい者雇用枠以外で入社した、知的障害はあるが、とても優秀な社員がいる。

彼女が入社するまでの経緯として、

主力商品の増産に伴い、パッケージ梱包スタッフが人手不足になり、作業現場から毎日のように人員補強の要望を受けていた。

地元の求人誌や広告やハローワーク経由で、主婦層をターゲットにパートタイマーの一般枠で募集をしていたが、売り手市場なのか、人が集まらない。



人を手配できない管理部門・・・現場の不満が高まる前に手を打たなければならない。

作業内容を直接観察したところ、基本的には商品をシーラーでパッキングしてから専用ラベルを貼る作業だ。
一人につき日量1000個以上こなさなければならないが、実は単純作業だ。

障害があっても十分に可能な仕事と判断し、就労継続支援A型の障害者支援施設に相談。

協議の上、候補者を選定し、諸手続きを経て現場にて研修を開始。
この間わずか一週間程度だった。

彼女は一見、障害を負っているようには見えないが、数字を数えることがとても苦手だった。

最初の数カ月は施設職員が立ち合っていた。

忙しい中、現場の従業員たちや施設職員が彼女に一生懸命仕事を教えている光景は忘れられない。

知的障がいがあっても、懸命に努力し、仕事をまじめに取り組んでくれた彼女。

・・・あれから早1年。

正確かつスピーディーな作業が認められ、彼女は現場から社員登用の推薦を受けた。

私が記憶する限り、たった1年で非正規から正規社員になった者は彼女の他にいない。

障がいがあっても、それぞれの役割は必ずあるはずだ。

障がいは違えど、難病の筋ジストロフィーを患っている私自身にとって、彼女の存在は心強く、そして、とても大きい。