気休めの薬メチコバールが切れたので久方ぶりに病院へ。
恐らく、平成最後の診察になるか。

現時点では不治の病、筋ジストロフィー。
主治医のアドバイスも限られてしまう。

医「最近どうですか?」

私「筋力が落ちた実感はないのですが、転びやすくなりました」
 「毎回ではありませんが、散歩するときは杖を利用しています」

医「それはいいね。転倒の予防はしっかりしておかないと。」
 「・・・」
 「気を悪くしないで聞いてもらいたいんだけど」
 「あなたのように、この病気と付き合いながらがんばってきた患者さんを何人も診てきたけど・・」
 「転んで大怪我して動くことが難しくなってしまった方もいる」
 「転びやすくなったと感じるのなら、車いすを利用することも検討してみては?」

私「・・何度か乗ったことがあります。すごく便利で・・・」
 「でも頼りすぎると本当に歩けなくなりそうで、怖いんです」
 「あとやっぱり人目が気になりますし・・」

医「人目はあまり気にしない方がいいですよ。人ってね、あなたが考えているほど気にしないから」
 「歩けないから車いすを使うのではない。危ないから車いすを利用するだけなんですよ」
 「最初は、長く歩きそうなときだけ車いすを使う、など使い分ければいいと思うよ」

私「そうですね・・真剣に考えてみます・・・」


最近、外出することが億劫に感じる。

理由は簡単
・家族と同じスピードで歩くことがきつい。
・長い距離を歩くことがきつい。
・杖をついて歩くことが恥ずかしい。

すべて筋ジストロフィーの原因によるものだと考えている。

でも、「転倒することが怖い」という理由はすぐに思い浮かばない。

正直に言うと、主治医に話した転ぶリスクについては、特に話す内容がないから言っただけなのだ。
ただ、転びやすくなったことは本当のことだ。

医師として、私の話に真剣に回答してくれたと思うと申し訳ない気持ちになるが、私にとって、転ぶリスクより歩くのがきつい・恥ずかしい気持ちが上だった。

おかしなもだ。
どちらが正しいことを言っているか、分かりきっているのに・・・


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色々なことを考えていると頭がおかしくなりそうだ。


・・・主治医の言っている通り、改めて車いすの利用を真剣に考えていきたい。
杖や車いすを使い分けながら、足腰が弱らない工夫をしていかなければ。

10年後も今と同じように歩くためにも
定年まで仕事を続けていくためにも

家族を守っていくためにも