筋ジスを発症する前、アジア圏にある、いくつかの子会社に出向していた。
社会人生活の約半分をそこで過ごした。

日本に帰任後も定期監査のため各拠点へ巡回出張していたが、数年前に筋ジスを発症して以来、その頻度は極端に減った。

現地から出張要請があっても、何かと理由をつけて出張を避けていたが、今回はそうもいかない。


出張先は大がかりな税務調査を受けている。
毎度おなじみだが、主要な調査対象は移転価格税制や国外関連者に関する取引だ。
下手打つと億単位の金を徴収される。

私が行ったところでどうにかなる問題ではないが、この手の調査を何度も経験してきた観点から、少しでも助力になりたい。

今は「行けない、あるいは行かなくてもよい理由」を主張するより、「行くにはどうすれば良いのか」を考えなければならない。

まず、単身で行くには非常にツライ。
無理すればできるはずだが、様々な場面でそうしてきた結果、今の状態に陥っていることを学習しなければならない。


筋ジスの私が、身体に負担をかけずに海外出張した方法

・介助者として1名同行
 座席から立ち上がれないとき、荷物を運ぶとき、転倒したとき、パスポート持ちで体力がある会社の若手に助けてもらう。同行者には気を使うし、恥ずかしい気持ちもあるが、考え方を切り替えなければならない。本当は若い女子を希望したいがそんな要望通るはずもなし・・

・自宅から空港まで
 同行の若手と社用車で行く。

・空港入口から搭乗口付近まで
 堂々と車いすを利用させてもらう。恥ずかしいなど言ってられない。

・機内
 トイレに近い座席を予約。座席から立ち上がる時、若手に介助してもらう。

・現地到着、イミグレーションまで
 ここでは空港内カートを利用。若手も同乗できる。

・荷物回収、空港出口まで
 ここからは車いす。若手には苦労を掛けるね、飯おごるよ。

・空港から宿泊先まで
 現地子会社の社用車を利用。


ここまで来ればあとは問題ない。
仕事は打ち合わせ中心だし、移動はすべて社用車による送迎だし、万が一何かあっても、同行の若手や駐在中に一緒に働いた現地従業員たちがサポートしてくれる。


そして無事帰国。身体の負担はほとんど感じられなかった。

行きも帰りも、空港内で利用する車いすやカートに関しては、利用する航空会社へ事前に連絡、手配依頼をした。
たぶん無料。
機内では可愛い添乗員さんが「お身体の具合どうですか?」など、声をかけてくれるし、現地到着時でも飛行機の降り口に私の名前が書かれたプラカードを持った職員が出迎え、案内してくれた。
途中まで車いすを利用し歩いて搭乗するという、中途半端なやり方だったがとにかく全体的に、とても親切に対応してもらえたことが印象深い。
完全に身体障がい者として車いすを利用した場合は、おそらく搭乗も優先してくれるだろう。

また、同行してくれた若手従業員の頼もしさときたら・・・
車いすを押すにも介助は必須だったし、ベンチや機内の座席シートから中々立ち上がれず、思った通り介助は必要だった。
幸いなことに歩行時の転倒等危険はなかったものの、彼の存在はとても大きく、心強かった。
こんな私のために・・・バックアップしてくれた会社のみんなには感謝しかない。
今後、こんな私でも海外出張させるニーズを見出してくれるのなら、喜んで引き受けたい。
・・・手間やコストはかかってしまい申し訳ないけど

肝心の税務調査については・・・・結果として何とかなると思うが、すぐには決着つかないだろう。
経験上、ガチで対抗してもうまく進展しない。
正当性を丁寧に説明しつつ、裏で監査チームの上司やエリアマネージャー、場合によっては税務署長を篭絡することが肝要だと考えている。
法やモラルが先進国ほど整備されていないからこそ、為せる手段。

それにしても、あらためて認識したのは、車いすの快適さ。

本当に素晴らしい乗り物だ。

今一番欲しいものを1つ挙げるとしたら、間違いなく電動式の車いすを選ぶ。

あーほしいなー
パズドラやグラブルに課金したお金があれば買えたのに!